某フードデリバリー配達員のブログ

中年男性フーデリドライバーの独り言

倒産危機!?連続大赤字の出前館、このまま潰れるしかないのか?という疑問に配達員が思う事

「出前館はもう潰れるんじゃないか?」

配達員界隈で数年ぐらいずーっと言われています。

その大きな理由は、とにかく赤字がえげつないということ。現在の上場企業の中で時価総額を減らしたTOP10に入るレベル。

配達員としては残ってほしいと思うし、言霊ってものがあるから「出前館は潰れない」と言ってはいますが、これだけ赤字が続くと不安はぬぐえない。

先日も大きく株価が落ちたので、いよいよ終わりなのでは…という不安が大きくなるばかりです。

そんな出前館の大赤字と倒産について、配達員目線で「もっとこういう所を変えてみては?」ってことを中心に書いてみたいと思います。

出前館の倒産リスク

出前館が倒産しかねないと言われ続けて数年が経っていますので、「赤字では潰れないのかもしれない・・・」という謎の安心感みたいなものを感じつつありますが、そんな安心感はまやかしです。

モノの道理で考えれば、赤字になれば企業は潰れるものです。

では、そんな出前館の倒産はどれほど現実味があるのか…。

5期連続赤字

出前館は12日、2023年8月期の連結最終損益が169億円の赤字(前期は362億円の赤字)になりそうだと発表した。これまで非開示の予想を開示した。広告宣伝費を抑制するなどのコスト削減を進め前期から赤字幅が縮小するものの、利用者向けアプリへの投資などが重荷となり、5期連続の最終赤字となる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC128A20S3A410C2000000/

5期連続で赤字、しかもその額は数億や数千万という規模ではなく、数百億円の赤字が5期連続です。

一撃で会社が吹き飛んでもおかしくないレベルの赤字が5期です。

いつ会社が無くなってもおかしくないと感じるのはむしろ正しくて、赤字では潰れないのではないか?と感覚を狂わせるレベルで赤字が続いているのが現状です。

6期連続赤字もほぼ確実

15日発表した2023年9〜11月期の連結決算は、最終損益が12億円の赤字(前年同期は42億円の赤字)だった。

https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXZQOFL160D90W4A110C2000000&scode=2484&ba=1

赤字が縮小しつつあるが、4半期ごとの決算でも着実に赤字を維持していますので、6期連続の赤字もほぼ確定と言ってもいいようです。

しかも、赤字は減少していますが、売上と利益が減少していることで株価が大幅に下落しました。

出前館の赤字脱却策を配達員として感じること

出前館は赤字を脱却することを最優先すべきで、そのための施策を掲げて実施しています。いや、実施しているはずです。

しているはずなのですが、出前館の配達員をしている立場からすると次のように感じます。

アプリの進化

アプリをとにかく改善してよりよいものにしていこうというのが出前館が経費削減のために掲げた方針の1つではあります。

ただ、はっきり言って、アプリが改善したという実感はありません。

LINEが大株主になり、開発陣にはLINEの技術者が入ったとあって期待した部分はありますが、多少UIや操作性がよくなった程度で、それ以外に改善しているようには感じません。

特に経費削減につながるような部分の改善は謎のままです。

効率的な配車が経費削減になる

アプリの改善がなぜ重要なのかとなると、それが経費削減になるためです。

A→Bの配達を行うにはAに近い配達員を確保することがもっとも効率的な配達につながります。

Aに近い配達員は、運動量、労力も最小限ですから、報酬を抑えめで提示しても依頼を受けてくれやすいという傾向もあります。

つまり、Aに近い配達員を確保できれば、経費削減につながりやすいのです。逆に言えば、Aから遠い配達員を捕まえようとすると、移動距離が伸びるので必然的に報酬を上げざるを得ません。

これをスムーズに行えるようになればなるほど経費を削減できますが、出前館はここが機能している気がしません。

ウーバーイーツのAI vs 出前館のAI

配車をAIに頼るとアプローチはウーバーイーツも同じ取り組みをしていますので、配達員をしていると簡単に二つを比較することができます。

その上で実感するのは、ウーバーイーツは報酬を抑えた効率配車をとことん追求しています。1件当たり300円、時にはそれ以下で提示しつつ、似たルートなら最大3件同時に配達させる。

そうすることで支払う報酬を抑えて、利益を上げるということを実現しています。

出前館はこの辺りがさっぱりです。

 

報酬は安くても400円ぐらいはありますが、それが本当に適切なのか?ウーバーイーツはもっと安い報酬で配達員を走らせてることがあるぞと感じますので、経費削減に関してもまだまだ甘いです。

しかもウーバーイーツはとにかく安く済まそうとするのではなく、配達員が不足している時間帯や時期は報酬を上げて、配達員を確保するというアプローチも取り入れてます。

  • 暇なときは鬼安い報酬で配達させる
  • 忙しい時は報酬を上げて配達員を確保する(他社に配達員を取られないようにする)

こういう戦略を土台にしたAIの開発が着実に進んでいます。

 

出前館は…

  • 暇なときに割高報酬で配達させる
  • 忙しい時は他社より安い報酬で配達させる

という状態になっていますので、売上や利益が伸びるわけがないよな…というのが配達員として感じることです。

 

ウーバーイーツは業界でいちはやくDP(ダイナミックプライシング)という機能を取り入れました。需要と供給に合わせてAIが報酬額を設定するというものです。

依頼を受ける配達員を確保できる最も適切な金額を算出し、それを提示する。これによって…

  • 忙しい時期でも高確率で配達員が依頼を受ける
  • 暇な時期は配達員が余っているのでとことん安い報酬でリクエストを出しても誰かは依頼を受ける

を実現し、トータルで見て利益を出せる環境を構築しつつあります。

これを裏返すと…

  • 忙しい時期や稼げる時間帯に他社は配達員を確保できない
  • 暇な時期にはウーバーイーツよりも高い報酬を払って配達員を確保している

という状況になりつつあるということです。

出前館は今まさにそういう事になっています。

配達員として赤字を抜けるためにすべきじゃないか?と思う事

経営陣には経営陣なりの難しさはあるのは百も承知で、そのうえで、配達員の立場で好き勝手なことを言わせてもらうとするなら…ってことを最後に書きたいと思います。

配達員報酬の最適化

配達員報酬に関しては、業界で黒字化に成功しているウーバーイーツと同じアプローチに行くべきだと思います。

今の出前館は、暇な時でもそこそこの報酬、忙しい時もそこそこの報酬という、メリハリのない報酬設定になっています。それでも出前館さん的には努力している、工夫しているとなるのでしょうが、ウーバーイーツのそれと比べると話になりません。

その結果…

  1. ウーバーイーツは配達員をより確実に確保できる
  2. お客様には「どんな時でも配達に来てくれる」という体験につながる
  3. フードデリバリーを利用するときの選択肢の1番目にウーバーイーツが来る

という循環が売り上げを支えるという理想的なビジネス環境になりつつあります。

 

出前館はそこが弱いというか甘いです。

忙しい時に何時間待ちみたいなことが起こりうるサービスをまた利用したいお客はそうそう居ません。

報酬設定の柔軟性をもっと高めるべきだし、そのためのAI開発にもっと本気を出してほしい。

インセンティブでコントロール

報酬の設定が甘い、AIの進化が弱いという部分の根底にあるのは、”人をどう動かすのかというノウハウがない”ためでは?ということです。

言い方が悪いですが、日本企業の悪い部分が出前館には未だに色濃く残っています。

ルールを作り、罰だけ厳密にして、恐怖で人を動かせようとするやり方を、従業員でもない配達員にも適用しようとするときがあります。

そのため、規約外の「○○しなければxxするぞ」というニュアンスのアナウンスを配達員に対して行い、「それって従業員として配達員を見てないか?」と反発を受けて、慌てて訂正するということが未だに起こります。

 

少し前までは、「一度受託した依頼は意地でも行け、たとえ料理の出来上がりに1時間かかろうが、2時間かかろうが待て、ただし報酬は1件分な」というルールを配達員に強いてました。強引にキャンセルしたらアカウントを停止するとかだったはずです。

料理が出来てないならキャンセルしてその場を離れて、他の依頼を受けて配達するほうが配達員は稼げます。配達員は雇用関係ではないのですから、出前館に縛られる義理も義務も本来はありません。

 

でも、出前館はそういう考え方は拒否していましたので、その結果、忙しい時間帯は出前館の依頼は受けない、暇なときにだけ出前館はやるという配達員が増えました。

これは”稼げるときに出前館の依頼を受ける配達員が減る=売り上げが伸ばせない”という事を意味しているので、赤字脱却のためにはキャンセルを簡単にできるような仕組みづくりをするほうが賢明なのですが、頑なにキャンセル禁止という規約を残し続けました。

 

報酬で配達員を動かしつつ、稼働のストレスとなる要因を減らすこと。

これがこのビジネスで売上を伸ばすための基本だと思うのですが、そこが未だに分かってないと感じるときがありますので、今の赤字は、上にいる人たちのアップデートされてない価値観によるものじゃないかな?と思います。

売上のために違法行為にも甘くなっているのでは…?

忙しい時期ほど配達員が他社の配達を優先するようになると売り上げは当然下がります。その売り上げダウンを食い止めなければいけない。

そうなったときに切るに切れないのが不法就労者の配達員じゃないかな?と思ってます。

 

今、フードデリバリー業界で不法就労者が集まる場所と言えば出前館です。

審査は甘く、本人確認もない。不法就労者には楽園です。

ちゃんと厳しく審査して排除すべきだし、アプリの機能として本人確認機能を持たせるべきなのですが、なぜかそれは頑なにやろうとしません。

不法就労者の彼らは彼らで他のフーデリでは稼働できませんから出前館専属にならざるを得ませんので、出前館からすれば貴重な専属配達員です。

どんな報酬設定であろうが、どんな規約や罰則であろうが離れない、疑似正社員のようなものです。

もしこれが売り上げを確保するためにやむを得ない必要悪だと捉えているなら、そういう考え方も出前館をダメにしているように思います。

仮に不法就労者を徹底的に解除するという方針を持つだけでも、今のやり方ではビジネス継続はできなくなり改革待ったなしになるはずです。

なにせ配達員の頭数が確実に減りますし、普通の配達員は稼ぎ時ほど出前館での稼働の優先順位は低いですから。

じゃあどうすればいいのか?という方向に考えることで本当の改革は始まると思います。

つまり…

出前館の売上ならびに利益をもっと伸ばしたりするには、ウーバーイーツの戦略を真似るほうが良いと思うんです。

似たようなビジネスモデルで黒字化しているウーバーイーツとの違いをもっと認めて受け入れるのが先だと思うのです。

ウーバーイーツは報酬で配達員をコントロールし、重い規約違反なら即座にアウトです。

不法就労者の配達員を残し続けたりはしませんし、売上が伸ばせる時期は報酬を上げ、閑散期は報酬を下げて全体的に適切な費用対効果を出そうとしています。

出前館はそういった部分に甘さがまだまだ残っているように感じます。

赤字を減らすには広告費を減らすだとかなんとかを対外的に言ってますが、配達員目線で見ると、報酬と規約を柔軟にしつつ効率配車をもっと磨けば利益は出せるだろ?と感じざるを得ません。

らしさやプライドのようなものがあるのかもしれませんが、それによって赤字が残り続け、株価も下がり、会社の存続すら不可能になっても良いとかなら、今のままで良いのかもしれませんが…。

 

ってわけで、外野は好き勝手言えるよねって言われかねないことを書きました。おしまい。